記憶を新鮮なままで

こっちでもりんごアイコンです。見たまま聞いたまま感じたままを咀嚼しきる前に留めておきたい。コメントくれるとめっちゃ喜びます。

風髑髏にハマりました。(ネタバレだらけ)④

③の続き。

 

続いて取り上げたいのは蘭兵衛(向井理)を追って天守閣まで侵入した沙霧(岸井ゆきの)を襲う天魔王(松山ケンイチ)と蘭兵衛ですよね、蘭兵衛が光に照らされ恍惚の表情で夢見酒を味わうなか天魔王が黒い扇で沙霧をバシンバシンと叩いて「他にはないのか、地を這う者どもの夢は!希望は!」と鬼の形相で痛めつける表情は悪そのものだし「助けて、蘭兵衛、」とすがる沙霧に「残念だねぇ沙霧、その男は死んだよ。今の私は亡霊だ。森蘭丸、その名で朽ちたはずの怨霊だ」と気持ち良さげに言い放つ蘭兵衛は完全に闇落ちしてますね、太夫の白花の髪飾りを見せつけ「蘭兵衛!」と叫ぶ沙霧の思いも虚しく「その男ならもういない!」と声高に言う蘭兵衛の少し血の気立った表情ね!!ちょっぴり狂気。追い詰められて「もういい、よーーく分かった。まったく侍ってのは身勝手なもんだよ、どいつもこいつも自分の思惑だけで世の中が回ると思ってやがる。でも1つだけ教えとくよ、この城はあたしの庭だ!!!!!」って言って隠し抜け穴をガン!って開いて消える沙霧本当にカッコいい大好き!!!直後「ほう、まだ抜け穴が残っておったとは」って言う天魔王が少し面白げに笑ってたのは流石戦い好きの性分だなって感じ。

また詳しく書きすぎそうで進まないので端折って行きますね、抽出大事。

沙霧を助けた捨之介(松山ケンイチ)が沙霧に刺されるくだりがあるけどここの捨之介の「でも良ーく見てみろ、俺とあいつ、ほんっとうになにからなにまでおんなじか?」って言って沙霧のほっぺぎゅうーぱんっぱんってするの良かったですよね、照れて首を横に振る沙霧も可愛かった、良い世界!!そうこうして逃げるうちに髑髏党に見つかり沙霧は三五と逃げ捨之介は蘭丸にやられて瀕死のまま牢に入れられるわけです。ここ捨之介がやられてから蘭丸と一緒に階段を上がって行くときに天魔王が仮面を外して「面白い」ってニヤリと恐い顔するんですけど、どこで捨之介が入れ替わったのか本当に注意して見てたのに分かんなかった。でもなんにしろ本当に瞬時に入れ替わったことに違いはなくて、こうも人格を急激にガラッと180度違和感なく変えられる松ケンの凄さをまた思い知りましたね…

沙霧と三五(とタヌキ)の目くらまし逃走劇、関八州荒武者隊とオオアニキなど見所はあるけどここからが地獄絵図、蘭丸が天魔王連れて無界屋を襲うだなんて誰が最初想像できました??「もう一度言うよ、しっかりしな蘭兵衛さん!」と言う太夫田中麗奈)に浴びせた蘭丸の「やっと正気に戻ったんだよ!!!」この狂気100%の顔が忘れられない…「許せとは言わん。が、お前たちの紅い血が私の中に溜まったしがらみを洗い流してくれる」「お前たちの紅い血決して無駄にはしない」、彼女たちを守りたい一心だった蘭兵衛のなりの果てがこれというのが恐ろしいのよ…関八州荒武者隊の「くだらなかねえさ!」「こんなとこで尻尾巻いてちゃアニキに叱られる!」「俺たちは何度でも立ち上がる!」とボロボロになっても這い上がって2人めがけて突撃しようとする姿もかなりこたえた。

一転して銃声からの狸穴(生瀬勝久)の「新式も効かんのか。火薬を倍にしたというに」のかっこよさね、効かなかったというのに余裕の構えね…!天魔王の「現れましたな、駿府殿」と蘭丸の「いきなり鉛の弾でお出迎えとは隠忍自重が売り物の貴殿らしくない。それともその浪人にやつした姿が心根までも無頼に変えるかな、徳川、家康殿」の悪バディ感も個人的には高揚する。私生瀬勝久の家康大好きなんですよ、「では儂を狙って無用な殺しを…!」「(手鏡を抱いて)おえま、成仏しろよ」「ええい止めるな半蔵、いくら儂でも腹わた煮えくりかえるときはあるわ!!!!」のあたり、おえま大好きじゃん…って感じで本当に好きです。髑髏城攻めが復讐っぽくなってるとこも好き。言い忘れてたけど贋鉄斎を見て「なるほど因業因縁くすしき縁がこの関東に集まったというわけか。面白い」と言ったり沙霧に「その度胸に免じてひとつ面白いことを教えてやろう。お前の信じる捨之介は牢の中にいる、息も絶え絶えにな。それがそなたら地を這うものの希望の果てじゃ」と吐き捨てたりする天魔王にも震えましたし何よりセリフが好き。

あとは何と言っても兵庫(山本圭哉)と太夫の同志感情の芽生えですよ、太夫の「あんたまで死んじまうよ!!」で初めて自分の子分たちの死に気付く兵庫ね…火が回ってしまって早く消さなきゃ逃げなきゃってときにひたすら子分の名前を呼んで肩を揺する兵庫に「しっかりなさい!あんたがそんなことでどうするの!」と太夫が言うも「だってこいつら…こいつらがよお…」と焦燥に駆られ「おい起きろよ!返事しろって!!」とまだ動かない兵庫、耐えかねたように平手打ちする太夫の言葉も響きますよね、「女と弱いもん守るってあたしと磯平さん守って、みんな立派な最期だったよ!!」って泣くのを堪えて叫ぶ太夫は死んでしまった仲間たちの長として兵庫と通じ合うものがあったんだろうなという感じ。兵庫の「そうかお前ら。よくやった!」も泣かせにきてましたね…

 

また飛ばしてましたね言及しときたかった場面、少し戻るけど贋鉄斎(橋本じゅん)の再登場シーン楽しかったですね〜!!兵庫と沙霧と三五を鉄騎兵が襲ってるところに馬(黒魔鬼)に乗って登場した贋鉄斎の橋じゅんワールドね!!「おい黒魔鬼今日はやけに興奮しているね、どうしてそんなに興奮しているんだい?え?今日のお客さんが午前よりちょっと若い気がするって?そうか、でももう一度よく見てごらん、実際はもう少しお召しになられてるかもしれないよ。(ここで舞台袖からひょいっと顔を出す)よかったね黒魔鬼!ちゃんと若かったよ〜〜ということでみなさんいらっしゃいませ〜〜〜〜〜〜!!!!!」とメタ的に観客を巻き込んでいくスタイルね、橋じゅんさん楽しすぎるね!!あと兵庫に惚れる贋鉄斎ね…「わぁ❤︎❤︎」と叫び(なおポワワン…というハープのような効果音)、「君は色白なのに、良い肉付きをしているね。」と声を正して絡む贋鉄斎に「なんだこのおっさん」とちゃんと気持ち悪がる兵庫も好きです。

 

話を元に戻して、仲間がやられてボロボロになった者同士で捨之介を助けに髑髏城に乗り込むことが決定したわけだけどここも名台詞の宝庫でしたね、まずは太夫の「輪胴轟雷筒。これだけは誰にも言わずに隠しておいたの。誰かが裏切るなんて思ってもみなかったけど、それでもまさかのときのことを考える。悲しい性だけど、こうしてきたからここまで生きてこられた。」に対して兵庫の「あんたにやれんのかい、あの男が」。これに対し「極楽太夫ってのはね、地獄に落ちた男を極楽に送るためにつけた名前なんだよ……2人でね!」と最初は少し強がって得意げに言ってたのに最後の「2人でね」で抑えてた気持ちが溢れ出ていてこちらも辛い。沙霧の「道案内ならあたしがするよ。髑髏城のすべての秘密は、ここにある」と言って自分の頭を人差し指で指したあと「赤針斎はあたしだ。あたしが熊木の長なんだ。おじいはその影武者。あたしを守るためにみんな犠牲になった。もう誰かを犠牲にして生きるのは嫌なんだ」と言う沙霧、ここにきて明らかになる秘密〜〜!!という感じで興奮した&シンプルにかっこいい。これに対して「影武者として生き残った者と、影武者を犠牲にした者、か。妙な縁だ」とボソッと呟く贋鉄斎ひさびさにかっこよかったですね、ここに「殴り込みなら〜人手が足りないんじゃないか」と言う三五も加わり、トドメに「お前らが雑魚だと思ってる連中の力、見せてやろうじゃねえか」とバシッと決める兵庫、流石に鳥肌ものでした。(黒いアイメイクが本当にいい仕事してました)

 

補足。関八州荒武者隊の「坂東武者のっ流れを汲んだっ関八州荒武者隊!」のあの絶妙にずれたキメ技めちゃくちゃクセになって好きです。

 

続く